彩園’S日記彩園’Sの日常
ソメイヨシノの不思議
今年は、冬が長かったために梅や桜の開花が遅れ、入学式だというのにやっと開花し始めたソメイヨシノ。私が中学に入学した時も、やはり東京の開花が4月に入ってからという年でした。教室の窓から遅れて咲いたソメイヨシノを不安な気持ちで眺めていたことを思い出します。
近くのカンヒザクラ畑(生産圃場)にヒヨドリが大群で訪れ花の蜜を食べている。毎年この季節になると「ヒー ヒー」と騒ぎながら蜜をあさっています。
(ヒヨドリの好きなカンヒザクラ)
無類の甘党のヒヨドリはウメやサクラの蜜を食べると言われています。しかし、ソメイヨシノの蜜を食べている姿は見たことがありません。あれだけいっきに咲くソメイヨシノさぞかし食べごたえがあるかと思いきや、ヒヨドリは近寄りません。ちょっと不思議な感じです。ではなぜ、ヒヨドリがソメイヨシノの蜜を食べないのか推測した結果、ソメイヨシノは種子で繁殖させることができません。全国各地にあるすべてのソメイヨシノは、接木によって繁殖させたものです。エドヒガン系のサクラとオオシマザクラの交配種で江戸末期から明治初期に染井村(現在の豊島区駒込)の植木職人の手によって育種されたものといわれています。一代交配種(F1種)のため実が結実しにくく、種ができにくいといった「園芸種」なのです。観賞用に作られた人工種のため、ソメイヨシノは受粉のために昆虫や鳥に手伝ってもらう必要がありません。
(ヒヨドリが嫌いなソメイヨシノ)
そういった事情で、自ら蜜を蓄える必要が無いのではないかと考えます。
花壇に咲いている1年草なども、一代交配種が多く花の色や大きさ、開花の長さなど交配により、改良してあります。
(ハナモモなども観賞用に改良されている一代交配種やはりヒヨドリは近寄りません)
パンジーも花弁を大きくしたり、花色を鮮明にしたりなどの改良をしてあります。
やはり一代交配種のため、ミツバチなどの昆虫は近寄りません。種もほとんど付きません。
このことから、ソメイヨシノとパンジーは同じ一代交配種のため、同じ仲間といってよいのかと思います。
鳥や昆虫たちは知っているのです。人工的なものには近付かないということを。
ちょっとさびしい話になってしまいましたが、これから春本番です。たくさんの花たちが咲き競う季節です。
きれいな花をきれいだと思う気持ちを「大事にしたい」ものです。
本日は、クール アンド ザ ギャングの「CHERISH」をお届けします。